月から堕ちたアリス















「おい…てめぇ俺のチームの奴に何してんだ…??」



そんな言葉と共に自分に近付いてきた火球を後ろへフワリと跳んで交わし、宙で一回転して着地したスピネル。


凄く軽い身のこなしだ。



そう思ってる間に、あたしは“超力”を身に付けたラビに抱えられてルビーの遥か後方まで連れていかれた。



『ラビ…!!ルビー…!!』



2人があたしを助けに来てくれたんだ。


良かった…。





スピネルは眉を潜めながら刀を構える。


すると、スピネルの持つ刀の辺りから風が吹き始めた。



「…ふんっ、やろうってのか??おもしれぇ!!」



ルビーは両手の指をコキコキと鳴らし、その手に炎を纏う。



両者の間にピリピリとした空気が流れる。










「…おい。あれってもしかして“独眼のスピネル”じゃないか??」

「確かに…一本結いの黒髪に右目の眼帯、そしてあの風の刀…間違いねぇ。」

「何でも、今回武闘大会に出場するらしいぞ。」

「そりゃーよっぽど腕の立つ奴が他にいなきゃスピネルの優勝は確実だろうな…。」



いつの間にかあたし達の周りに集まってきていたギャラリーがそんな話をしている。



あの人ってそんな有名な人だったの…??!!
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