月から堕ちたアリス
「助けてあげたんだから感謝してよーアリスちゃん。」

『…は??』

「周りを見てみなよ。」



言われるままに周りの人達を見ると、みんな彼女達に釘付けだった。

しかもボーッとしていてその目は虚ろだ。



『な、何…??どうなってんのこれ…?!』

「これが彼女達の能力だ。自分達のことを少しでもきれいとかかわいいとか思わせたとき、相手を“魅了”状態にさせる。そしてその状態にさせたら相手を思い通りに操ることができるんだよ。」



そんなことできるの…??


あたしはまさかと思ってラビとルビーを見た。



「かわいい……」

「きれいだ……」



あたしはギョッとした。


2人は彼女達のことを虚ろな瞳で食い入るように見つめていたのだ。


…何かちょっとムカつく。




――ゴンッ!!…ゴンッ!!――





あたしは渾身の力をこめて2人の頭を“凛月”の角で殴った。





「「いっ…てぇぇ…!!!!」」



2人は頭を押さえてしゃがみこんだ。



「何すんだよアリス!!」

「てめぇっいてぇだろうが!!」

「ふんっ。助けてあげたんだも〜ん。」



そう言ってあたしはそっぽを向いた。



それにしても…


これだけの数の人達の動きを一度に封じられるとすると、あの3人…強すぎじゃない??



誰も敵わないじゃん!!
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