月から堕ちたアリス
「アリスちゃん。確かに今は魔法の使い方も忘れているし魔力もないかもしれない。――けど、君がワンダーランドの住人である限り、魔力はもともとその体に微弱ながらも備わっているんだ。」

『もともと…??』

「この世界の人々は、みんな生まれつき魔法を使える素質を持っている。それを鍛えて魔力を高めた人が魔法を使ってるんだ。つまり、君は鍛える前の状態に戻っただけで魔法が使えなくなった訳じゃない。」



でも…

それでも魔法を使えるほどの魔力がないってことに変わりはない。

決勝が始まるまでの数分の間に魔力を高められる訳――…






あたしは視線を下に下げた。


















あれ…??


ちょっと待って…


魔力を…高める…





――力を……引き出す……??


























『…っ!!!!』

「そうか…!!」

「“凛月”だ!!!!」

「やっと気付いた??」



神具“凛月”――


月の神の加護を受けたと言われる杖。


その特性は、使い手の力を最大限に引き出させてパワーアップができること。





リタルダンドの弟子、幻術使いのドルチェと戦ったときが正にそれだった。
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