月から堕ちたアリス
あたしの名前は有村 優(アリムラ スグル)。


高校2年生。


男っぽい名前だけど、正真正銘女だ。



あだ名は有村の『アリ』と優の『ス』を取ってアリス。


小学校のときの友達が付けてくれて、高校生となった今でもみんなにはそれで通っている。



セミロングの髪は明るいトーンの茶色に染めている。



自分で言うのもなんだけど、どちらかといえば地味ではない部類だと思う。









歌い終わり、マイクを他へ回したあたしはアイスティーで喉を潤した。



寝ていたこともあって何だか頭がぼーっとする。



「優??今日どーしたんだよ、ぼーっとしちゃってさ。」



誰かがそう言うなり、あたしの隣に腰を下ろしてきた。


その人物は塚本 歩(ツカモト アユム)。


“一応”、あたしの彼氏だ。



『何か今日はやたら眠くてさっ!!何でだろ??』

「疲れ溜まってんじゃねーの??夜辛いんなら毎日俺等に合わせなくても良いんだからな。」

『うーん…でも、できる限り歩と一緒にいたいんだもん…。』

「ははっ、優はストレートだよな!!そう言ってくれて嬉しいわ。」



歩があたしの頭をわしゃわしゃと撫でる。



『えへへっ♪…あのさ、歩!!今度2人で―――』



――ピロピローン♪――



「あ、俺だわ。…ちょっと悪い。」

『う、うん。』



歩はそう言うと携帯にかかってきた電話に出た。
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