月から堕ちたアリス
「また寝れば良いじゃん。」

『全然眠くない…。』

「俺は寝ようとしてるの止めたもん。」



しょうがないじゃん。

眠かったんだし。



『あたしが眠くなるまで話しよう!!』

「えー俺眠いのに……」

『質問ね。』

「…………。」



ラビは溜め息をつきながら布団の上に胡座をかいた。

よしっ!!

勝った!!!!



『いかれ帽子屋兄弟があたしが月から堕ちてきたからアリスだって言ってたんだけど、一体どういうこと??あたし確か湖に堕ちて…それで気付いたら朝っぱらからあの兄弟のいかれたお茶会に強制参加させられてて…』

「あぁ。あの湖の満月が反射した部分、あっちの世界とワンダーランドが繋がった唯一の出入り口になってるんだよ。」

『いやだからさ…何であたし湖から落ちたのに空中を落下してた訳?!』

「空見てないの??だったら見た方が早いか。」



ラビはそう言うと立ち上がって入り口のドアに向かっていった。



『ちょっ…どこ行くの??』

「良いから外来てみ。」



あたしは眉間にしわを寄せながらもラビの後に続いて外に出た。


何だろう??



「ほら、アリスはあそこから堕ちてきたんだよ。」



ラビは夜空に指を差した。

あたしは指差した先を見上げた。



――は??


何、あれ………



あたしは驚きで思わず目を見開いた。



『あれって…もしかして…』

























あたしが見上げた夜空。



何とそこには、満月の映る湖が果てしなく広がっていたのだ。
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