月から堕ちたアリス
「…アリス。」

『テヌートさん…。』

「…大丈夫。もう旅を止めたりしないから。」

『!!』



テヌートさんは間を置いてから口を開いた。


























「すぐに魔法を使えるようになるかもしれない方法が、…1つだけあるわ。」

『えっ??!!』

「一体どうやって…??」





「――“奇跡の魔術師”リタルダンド。」





“奇跡の…


魔術師”――??



『誰…??』

「100万年に1人の天才と言われる相当腕利きの魔術師よ。これまでにあらゆる難題を解決してるの。その人ならどうにかできるかもしれない。」

『そんな凄い人がいるの?!』

「――ただ、リタルダンド自身に関する情報はほとんど何も知られていないの。かなりの変わり者らしいけど…男なのか女なのか、若いのか老いているのか、それすらも分からない。」

「…って、それじゃあ探しようがないじゃん!!」

「いいえ、探す必要はないわ。」

『どういうこと…??』



テヌートさんは真っ直ぐ腕を伸ばし、指差した。





その先には高くそびえ立つ白い塔があった。



「ここから北西に真っ直ぐ――リタルダンドはあの塔にいるのよ。」























ぇええ〜〜〜〜〜っ!!!!



何そのローカルな感じ!!



そんな凄い魔術師がこんな近くにいるもんなの??!!



「何だ拍子抜けだなー。てっきり探し回らなきゃいけないのかと思った。すぐ会えるじゃん。」


「…それがそうでもないのよ。」

『「??」』



まだ何か問題あるの…??
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