月から堕ちたアリス
「何なんだこれ?!」

『凄い風っ…!!』



風の強さに目をギュッと閉じる。

気を緩めたら体ごと吹き飛ばされちゃいそうだ。


























――だが、その風は突然ピタリと止んだ。



『「……??」』



目を開くと、あれだけ視界を悪くしていた霧はいつの間にかすっかり晴れていた。



本当に何だったの今のは…??




























「どなたでしゅか??」



いきなりそんな言葉が聞こえた。


ラビとあたしは目を見合わせてる。


お互いに驚いた表情だ。



ラビでもあたしでもないってことは、誰が言ったの…??


霧が晴れたためキョロキョロと周りを見渡す。



そこは玄関の扉以外何もない一室だった。




















「ここでしゅよー。」



またさっきの声が聞こえる。



「あそこだっ!!」

『えっ?!』



ラビが上の方を指差した。



何とそこには空中をフワフワと浮いている、見たところ10歳ほどの少女がいた。

金色の長髪にくりくりとした目の、フランス人形のような可愛い少女だ。

後ろの上部の髪は赤いリボンでまとめている。



…浮いていることはとりあえず突っ込まないでおこう。
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