月から堕ちたアリス
「お客様でしゅか??」



少女はフリルの付いた純白のワンピースと髪の赤いリボンを風になびかせながら尋ねてきた。



『あたしはアリス。』

「俺はラビ。俺達は“奇跡の魔術師”リタルダンドに頼みがあって来たんだ。」

「お師匠様にでしゅか??それでしたら直接お師匠様にお話しするでしゅよ。この塔の一番上の階にいるでしゅ。」

『うん、分かった。』

「むむっ?!それはもしや神具“凛月”じゃないでしゅか?!」

『あぁ、これ…??そうだよ。』

「むむ〜とても拝見したいでしゅ…しかし…むむむ〜……無事辿り着けたらたくさん話そうでしゅっ!!」



そう言ってその少女は風が吹いたと同時に姿を消した。



『って…どこ行ったのあの子!!この杖に妙に食い付いてたし、案内してくれるんじゃないの?!』

「自力で辿り着けた奴にしか会わないってことか…。どうやらリタルダンドに試されてるらしいな、俺達は。」

『ぇえ〜そんなぁ〜…』



やっぱりそう簡単には行かないらしい。


テヌートさんの言ってたことが分かってきた気がするよ。





「ってかさ――ここ何も無いじゃん??」

『え??うん、無いね。』




























「…階段も無い気がするんだけど…」

『………。』

「………。」

『ははは…』

「あははは…」



あたし達は思わず苦笑いを浮かべた。
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