【BL】ネコミミはえちゃった。
親父がパトカーで連行されていった日のこと。
お袋が知らねえ男に抱かれてんのを見た日のこと。
保護者席に座らせてもらえなかった、睦実の入学式のこと。
運動会にも行った。
授業参観にも行った。
学芸会にも行った。
学校に入れてもらえなくて、いつも敷地の外ギリギリで待った。
はじめのうちは泣いていた睦実は、いつのまにか泣かなくなった。
だから俺が泣くようになった。
もっと力があれば
もっと金があれば
もっと重ねた歳があれば
睦実をこの手で
守ることができるのに。
「……睦実を…俺が守りたいのに…!」
視界が溶けていく。
ぷくりと膨れた涙の球は床に叩きつけられて割れた。
殴られたり、守れなかったり、そういう記憶も割れて無くなってしまえばいいと思った。