【BL】ネコミミはえちゃった。


「いただきまぁす」
着替えた睦実を椅子に座らせ、朝食を摂らせる。


「あれ……?」
息をついて時計に目をやった睦月が声を上げた。



「兄ちゃん?」



長針と短針がいつまで経っても重ならない。



「10」で出会う2人が、直前で躊躇っている。



「……睦実」



秒針がちょうど「9」で切なげにプルプルと震えていた。


「なに?兄ちゃん」



「学校、行くぞ!」
睦月はまだ眠たげに目を擦る弟を抱え上げると、口元についた牛乳のヒゲを手で拭ってやりながら玄関に走った。



左に弟、右にランドセル。
携帯とバイクのキーを睦実に握らせた。




扉を蹴り開ける。


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