【BL】ネコミミはえちゃった。
途端、何かに当たる感触が睦月の手に響いた。
「いでッ!」
扉にぶつかったであろう声の主はシールド付きのヘルメットをかぶって、ドアの下にしりもちをついてへたりこんでいた。
「めっ…めいさん!?」
玄関に憧れの先輩。
遅刻ギリギリの弟。
睦月の緊張は朝一番から既に最高点に達している。
「なんだ、寝坊か?」
「そ、そんなとこッス!」
すんません、と言い捨てて庭のバイクに駆け寄る。
「すんません明衣さん!ちょっと行ってきます!」
睦実にヘルメットを被らせながら玄関で立ち往生する明衣に叫ぶと、明衣らしい相手を気遣った返事か飛んできた。
「おー、気ィ付けろよ」
「いってきまあす!」
叫ぶ睦実に向かって手を振るミラーの明衣がだんだん小さくなっていくのを、睦月は柔らかに微笑みながら見ていた。
実際、そんな余裕は無いのだが。