【BL】ネコミミはえちゃった。
藍の裾が橙に溶けていく。
「…何が、」
わかってるくせに。
わかってないのかもしれない。
わかってない方が良い。
なのに。
気づいてよ。
やっぱり気づかないで。
「なんでもないよ、先生」
俺は振り返って窓に手をかけた。カラカラと規則的に音を立てながら、藍が侵食し始めた空に視線をやる、ふりをする。
あくまで、クールに-―――――
とん、とあったかい手が背中に触れた。
優しい触れ方のくせして、わけも無く力強い。
「なんでもないコト無いだろ?」
ガラスにうつる、今にも泣き出しそうな顔をした自分と先生の影。