【BL】ネコミミはえちゃった。
「先生、」
もういいよ、と言おうとして俺は言葉を失くした。
「あんまり…見んな」
さっきとは打って変わって、顔を真っ赤にした先生がそこに居たから。
片手で顔を押さえながらゴホゴホとわざとらしくむせながら、先生は俺を呼んだ。
「――――律稀」
なに、と素っ気なく答えたつもりの俺の声が間抜けにひっくり返った。それには気にも留めず、先生はしゃんと背筋を伸ばして姿勢を直す。
顔はまだ赤く染まっていたけど、はっきりとした声に迷いは無い。
ただ、あるとすれば一つ。
先生のしっぽが、
ゆっくりと揺れはじめたこと。
「俺が、好きなんだな?」
「好きです。すっげー好き。世界一。結構前からね」
嘘は無い。
先生を目で追ってた。
世界中のどんな宝よりも、
アンタの笑顔が欲しかった。
―――好きです、先生。
少しの沈黙はもう苦にはならなかった。先生に伝えられた。
「じゃあ、」
口を開いた先生は優しく笑って、銀色の光を背負う。
いつのまにか橙は藍に包まれていて、その寛容な胸の中にはぽっかりと満月が浮かんでいた。
「俺は宇宙一にしとく」
またふわりと揺れたソレに、俺はそっと触れた。
それほどまで、
近いぬくもり。