恋・したい
改札口を通る為定期を駅員に見せ電車に向かったら手首を掴まれた。視線の先には

『柚季…』

そのまま引かれて駅を出る。外はすっかり暗くなっていて冷たい空気が痛い。さっき柚季に電話をかけた公園へ着いた。

『どうしたの?』

背中を向けてずっと無言の柚季に不安を覚える。

『…怒ってる?』

心拍数は上がりっぱなしで触れられてる箇所から熱が回ってくらくらしそう。あぁ、触りたい。
手のひらをそっと背中に当てて壊れそうなくらい動いてる心臓をなだめながら近付く。

ぐいっ!

不意に強く引き寄せられたからつんのめって転びそうになったけど私の身体は柚季の腕の中に収まっていた。
風は冷たいのに寒さなんて感じる隙間がないくらいに私たちは密着している。

【さっきはごめんね。電話出れなくて】

更に強く抱きしめてくれる。柚季の肩に顔を押し当てて首を横に振る。
自分の腕を静かに柚季の背中に回した…
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