恋・したい
「また来てくれるなんて嬉しいよ。そちらは新しい先生かい?」
『ええ、ご主人の顔が見たくなりまして。相変わらず美味しいです』
「こりゃ参ったなあ」
「僕にも同じ物をください」
「はいよ」

はぁ~♪天婦羅美味しいなぁ。大根おろしもイケる。蕎麦ののどごしも…

「野上先生っておいしそうに食べますね」
『だって美味しいから』
「はいよ、おまちどおさま」

ご主人と最近の事を話し合いながら蕎麦を食べて笑い合う。日常会話や何気ない出来事を話すのって大切な事なんだと思った。

ガラッ

「いらっしゃい!」

時刻は夕食時になりお客さんも入ってきた。
食事を終え、今までの授業内容を一通り伝え特に成績の悪い生徒の名前を書いた用紙を渡す。

「いや―野上先生すごいですよ。努力されてますね」
『今の説明で理解できましたか?』

バッグに教科書を戻す時携帯が目に入った。光ってる。
開いてメールを確認…

今どこなの?ご飯まだなら一緒に行かない?

あの先生と何話してるのかなぁ…

心配だよ。メールちょうだいねっ

早く莉梨愛ちゃんのメール欲しいな~


ゆ…ずき
こんなにたくさん…


『ちょっとお手洗いに』

バッグを持って個室へ入る。震える手で柚季の番号を押した。
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