恋・したい
プルルルル…

【もしも―し】
『メールありがとう。ご飯食べた?』
【莉梨愛ちゃん、会いたい】

柚季の悲しそうな声に心臓がこれでもかってくらいにしぼられる。苦しい…

『…うん。じゃ私部屋で待ってる』
【すぐ行くよ、切るね】
『うん』

携帯をバッグに仕舞い席へと戻り一礼して

『ではお疲れ様でした』
「え?あの…」

尾崎先生の声は耳に入らない。

「野上先生、また来てください!」
『ご馳走でした』

ご主人に軽く手を振り家路へと急ぐ。見慣れた景色が近づいてくると白い雪が舞い降りてきた…
どうりで冷える訳だ。寒空を見上げると丸い月が白く輝いている。
今宵は満月
息をはきだして早足で階段を昇り鍵を探す…

『わっ!?』
【冷たい…】

びっくりした
後ろからいきなり抱きしめられたから


『い、いつ来たの?』
【莉梨愛ちゃんが階段昇ってくとこから】

ぎゅうっ…と腕に力が込められ柚季がもっと近くなる。

『部屋入ろ?寒いでしょう』
【うん】

抱きしめられたまま鍵を開けて部屋の電気をつけた。
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