恋・したい
今宵は満月
美しい月にみとれ、大好きなひとの腕の中

…なんてしあわせなの。

【莉梨愛ちゃんの顔見たいからこっち向いてよ】

また柚季の声が耳元をくすぐる。身体をゆっくり柚季の正面へと向けた。

【莉梨愛ちゃん!?どうしたの?僕いけない事した?】
『え?』

気が付いたら涙が零れていた。

『大丈夫。満月のせいだから柚季のせいじゃないの』
【なんで満月のせいなの?】
『宇宙の神秘ってとこかな。生命体は満月と深い関わりを持っているのよ』
【莉梨愛ちゃんは泣き顔も綺麗だね…】

そっと両頬を包んで涙を拭ってくれる。
柚季への気持ちが溢れて涙へと変わり流れてゆく。この想いを伝えられたらどんなに素敵な事だろう。

でも
私は
言えないの

『大丈夫だから…』

これ以上一緒に居たら離れたくないともっと強く思ってしまうよ。

『そろそろ帰りなさい。ご家族も心配してるでしょ』

身体を離し柚季に背中を向ける。

【莉梨愛ちゃん】

いつもと違う声。真剣な声だ。
思わず振り向いた。

【僕は莉梨愛ちゃんの事が好きです】

今宵は満月
外は雪
私のいつもの部屋で
告白された
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