恋・したい
『何処に行くの?』
【莉梨愛ちゃんは今日お姫様なんだよ。僕が魔法をかけてあげるからね♪】

リムジンはスーッと道路を滑る様に走り出した。

『すごい、リムジンなんてTVの中でしか見たことないのに今乗ってるなんて信じられない』
【初体験だね♪きっとこれからもっとたくさん初体験できるよ♪】

柚季の言葉も気になったけど何処に行くのか全く解らない私は窓に目をやる。見慣れないお店が視界に入ってきた。

【着いたよ。さぁお姫様、お手をどうぞ】

リムジンから降り柚季に手をひかれ何やら豪華そうなお店の中へと足を進める。
そこは
私にとってキラキラと眩しい場所でまるで宝石箱をぶちまけたみたいにきらびやかだ。

『わぁー!きれ~い!!』

思わず叫んでしまう。だってすごく綺麗なんだもの。女の子なら誰でも好きでしょう?綺麗で美しくて可愛い物は。

「いらっしゃいませ佐倉様。ドレスをお探しですか?」
【そうなんだ。彼女に似合うドレスを数着持ってきてくれないかな】
「かしこまりました、少々お待ちください」
【莉梨愛ちゃん。何見てるの?】

柚季が後ろから抱きしめてくる。

『ちょっ…ここ店内だよ』
【大丈夫、僕たちしか居ないし店員はドレスを見繕ってるから二人きりだよ】

柚季に会わないって決心したあの日はどこへやら…
好きになってしまえば気持ちに嘘は吐けないし圧し殺す事も出来ないのね。

【こっち向いてよ】
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