恋・したい
【莉梨愛ちゃん】

優しい柚季の声に惹き付けられるように辺りに注意しながら歩みを進めると左手に熱を感じた。
直ぐ柚季の手だと確信し、力任せに引っ張ったら驚きの声を上げたからなんだかちょっぴりからかいたくなった。

『な~んてね♪』

暗闇の向こうの柚季にぺろっと舌を出し口元だけでおもいっきりからかったつもりだったんだけど

不意に唇に襲われた感覚に
ただ
言葉を失う…

目隠しを外され目を開けてもさっきと変わらない暗闇が広がって…違う、ポツポツと光るあの正体は

【さあ、ご覧。これを見せたかったんだ…】

目の前には無数の蛍が飛び交っていた。
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