恋・したい
真冬に蛍の大群を見れるなんて奇跡としかいいようがない。
感嘆と驚きの入り混じったため息を吐けばそこは現実離れした世界が広がっている。

【綺麗でしょ?僕蛍好きなんだ】
『すごい…夢みたい』

私の正面に立ち蛍の淡い光に柚季の顔が照らされた。

【夢じゃないよ。僕と莉梨愛ちゃんが此処に存在してお互い大切に想っている事は夢じゃない】

柚季の言葉にただ頷くことしかできなかった。
右頬に柚季の手が触れキスされる。青白い光の中で幾度となく口づけを交わしていると、背中のファスナーを下ろされていた。思ってもいなかった出来事に思わず唇を離す。

『ゆっ…ゆずき、なっ…なん』
【いやだ…離れちゃいやだ…】
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