恋・したい
スイスイ歩いてゆく由宇は目的地にまっしぐらって感じで私に振り返る事なく歩いてゆく。いつもなら

「りぃ遅い!」って手を引っ張ってってくれるのにな。横断歩道を渡り、込み入った場所へと隠れる様に滑りこむ。

「お待たせしました。りぃに見せたいのが此処にあります」
『もったいぶらないでよ』

歩みを奥へと進めると右側には受付を担当する高校生の姿が。

「先生、来てくれたんですね」
「当たり前よ。約束は守るわ」

由宇の顔が厳しくなった。教師の顔だ。

「先生ってモデルさんとお知り合いなんですか?初めまして、綺麗ですね」

女子高生に挨拶と一礼され私も返す。

「違うよ。先生の大親友で彼女は国語教師なの」
「ええ―――!!すごい!才色兼備って言葉が合う人が居るんですねぇ」
『そんな…大袈裟よ』

彼女は、いやいやと首を振り興奮しながら握手を求めてきたので手を握り満足顔で中へ案内してくれた。
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