恋・したい
2月上旬もそろそろ終わる頃、三年生はほとんど学校に通う事はなく私は職員室に居座れるようになった。
柚季に会えないのは寂しいけどね。
結斗に頼まれた肝心な話はまだ聞いていない。卒業まであとわずか、私の恋も終わる…?

「野上先生はどこのクラスの受け持ちになるんですか?」

考え事してたのに話しかけてこないでよ。

『今年は尾崎先生がチャレンジしてみればいかがですか?』

赤ペンをペンケースに仕舞い採点完了。低いうなるような音がバッグから聞こえる。メールかな。

多分絶対柚季

受信ボックスを開けると、ほらやっぱり。
会いたいってシンプルな文章にときめいちゃったよ。終わったらメールするから待っててね、と返信。
午後の授業もあとひとつ。久しぶりに柚季に会える♪
一年の教科書を持ち、A組の教室へ足取り軽く向かう。職員室を出たらちょうど星山とばったり出会した。

『おっ!星山。絵画コンクールの絵良かったぞ』
「見てくれたんですか?ありがとうございます」
『私の友人が誉めてたぞ。美術の教師でね、なかなか筋がいいって』

星山は誉められたのがよっぽど嬉しかったのか頬を赤らめ照れ笑いをして教室へ戻って行った。
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