恋・したい
落ちる!!
咄嗟に頭を庇い、身体を丸める。

ふわり
背中に感じたのは冷たい地面じゃなくて温かい体温だった。

【莉梨愛ちゃん大丈夫?】

柚季に抱きとめられていた。

「何やってんだよ」
「莉梨愛ちゃんから離れろ!」

周りの野次が柚季に飛ぶ。

【先生助けただけじゃん。たまたま僕が一番近くに居ただけだよ。ひがむ暇あったら瞬発力身に付けたら?】
「チッ、生意気な奴」

嫌味を吐き捨て立ち去って行った。

【莉梨愛ちゃんいい匂い。香水?…薔薇の薫りがするね】

また耳元で囁く。

『香水じゃない。バスオイルだ』

慌てて柚季から離れて脚立を持ち資料室へ向かった。
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