恋・したい
パチン

【出来た!!】
『こっちも出来た』

柚季には資料をまとめてもらい、私はパソコンの電源を切る。

【莉梨愛ちゃんいつもこんな事してるんだぁ】
『そうよ。教師は人知れず苦労が多いのよ』
【ご飯食べに行こ?ご馳走するから】
『うん…、先靴履いてて』

柚季は職員室を出て玄関へ向かった。
由宇に

ご飯食べて帰るね
いつもありがとう
大好き

とメールを打ち送信。少し慌てて柚季の後を追った。



柚季と並んで歩く。ちらりと横目で盗み見る。
スーツなんか着ちゃってさ。グレーかな?
かっちりネクタイもしてるし。
大人っぽい…

【ねぇ、莉梨愛ちゃん】

不意に名前を呼ばれ視線を自分の爪先へと移動させる。

『どうしたの?』
【手、繋ごっか】

返事する間もなく私の右手は柚季の左手に収まっていた。

【此処、不審者がよく現れるんだって】

右耳に柚季の息がかかる。ただそれだけの事なのに、

どきり、と心臓が跳ねる。同時に私の身体が熱を帯びた…



【何食べよっかな♪莉梨愛ちゃん、好きなのいっぱい食べてね】

こないだ連れて来られたレストラン。私は精一杯の笑顔で柚季に応える。
だってさっきのは反則。まだ熱いよ…
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