恋・したい
職員室に飛び込んでドアを閉める。
カタカタと震える肩。ぎゅうっと上着を握る。

落ち着かなきゃ
紅茶淹れて…飲もう。
すぅ、はぁ、深呼吸。
ティーパックを紙コップに入れてお湯を注ぐ。砂糖なし。
簡素なお茶会だわ。
紅茶本来の味と薫りはリーフの方が断然良い。
ポットとカップを温めて…って今そんな知識を思い出してる場合じゃない。
紅茶を飲み干し、仕事開始。

時刻は間もなく正午になろうとしている。そのせいか帰宅する生徒もチラホラ目立ってきた。
私も早く終わらせて帰ろう…
プリントアウト開始。これをまとめれば終了ね。休日出勤最高だなぁ。

静寂な職員室の沈黙を破ったのは―

「野上先生!お昼一緒にいかがですかっ?」

………はぁ。
暑苦しい笑顔で話しかけてこないで…

『用事があるので、まだ仕事中ですし』
「じゃ、お手伝いし―」
『結構です』

さらりと言葉を遮り、笑って返した。
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