恋・したい
どきぃ

『あ、はい』

窓とドアに鍵をかけ職員室に鍵を置き、事務室に声をかけた。

『帰るから戸締まり宜しくお願いします』
「ん、あぁ。気を付けて」

一礼して玄関へと急いだ。

「ささっ♪行きましょう」

少し離れて歩く。だって誤解されたくないし、噂にされちゃ毎日生徒のひやかし攻撃を受ける羽目になる。
ただでさえ鬱陶しいのに更に鬱陶しくなるのはごめんだからな。


連れて来られたのはお蕎麦屋さん。
小ぢんまりしたカウンターに小さいご主人。
「らっしゃい!いつものでいいか?」
「今日は二人前で天婦羅付きで。野上先生此方へどうぞ」

三浦先生に促され席へと着く。お世辞にも綺麗とは言えない店内。
メニューを書いてる紙なんか今にも剥がれそうだ。

「しかしいいのか?デートなのにこんな汚い店に連れて来て」

天婦羅を揚げながらご主人が笑って話しかける。

(恋人同士じゃありません!!)

と叫びたかったが黙っているのが正解なんだよね、この場合。
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