恋・したい
――

「こっちへおいで。キャンディあげるよ」

「本当に綺麗だな。子供なのに…」

「優しくしてあげるからねぇ」

嘘つき
嘘つき

『いやぁぁぁぁぁぁッ!!!』

――

……やだ
最悪だ。
涙を手の甲で拭ってノロノロとバスルームへ移動する。服を洗濯機に放り込み、シャワーを頭から浴びる。
鏡に映った自分の姿を見る。
雪みたいに白い肌。ほんのりピンクの頬。憂いを帯びたブルーの瞳。すっと通った鼻筋。ぷっくりと形のいい紅い唇。
華奢な身体。長い手足。程好い胸。キュッと締まったお尻。
うっすら金色の腰まである髪。

これは生まれつきなの。ある程度お手入れはしてるけどダイエットやエステに行くほどじゃない。
男はなんで私に近寄ってくるの。見た目が良ければ誰でもいいの?それに男なんて皆同じ。二度とあんな思いしたくない…

頭をふるふると振ってバスタオルで水滴を拭き取り、裸のままキッチンへ行き缶ビールを開け腰に手を当ててぐいぐいと飲む。

『はぁ~!最高♪っと、今何時かな…』

髪を拭きながら携帯を開くとメールがきていた。由宇からだ。

『えぇ!!』

慌てて服を着て髪を結い、バッグを持って部屋を飛び出した。
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