恋・したい
頭上にひゅっと風が吹いた感じがしたと同時に鈍い音と醜い叫び声が耳に届いた。

「なんだっ!?ぐあっ!」

ゴスッ、ドカッ、ガンッ!

目の前がいきなり明るくなり、思わず目を閉じる。

【莉梨愛ちゃん!怪我はない!?】

ゆっくり目を開けるとすごく悲しい顔で私を抱き起こしてくれた。パニックになってがたがた震える私を優しく抱きしめる。そんな私の頭をゆっくり、ゆっくりと小さな子供をあやす様に柚季が撫でてくれる。

『こ…わかった』
【莉梨愛ちゃんが無事でよかった…】

汗が額から伝って頬、首筋に流れてる。シトラスの薫りが柚季の髪から漂ってる…

不意に気配を感じ目を開けた。

『柚季!後ろ―』
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