恋・したい
私が叫んだ瞬間、人間が吹っ飛んで壁に激突するさまがスローモーションの様に見えた。

【やりすぎたかな?】

のんびりとした口調で気絶してる男の腹の上に足を乗せてぐっと踏みつけている。柚季の顔は至って普通の表情な訳で。それが余計に恐い。

【縛っておこうよ。学校に置き去りの刑。莉梨愛ちゃんを泣かせた罰♪ロープないかなあ~】
『そこまでする?私泣いてなんか…』

何気に頬に触れたら湿っていた。いつの間にか柚季は強姦犯達をロープで縛り、更に殴り満足気に

【出来たっ。莉梨愛ちゃんこれ着て】

と爽やかな笑顔でジャケットを渡す柚季。胸元を隠し袖を通す。立ち上がろうと脚に力を入れたけど膝が震えてしまっている。

【莉梨愛ちゃんつかまって。おんぶね】
『お邪魔します…』

遠慮がちに柚季の背中に寄りかかると私に気を遣ってゆっくり立ち上がって学校を出た。黙っているのが恥ずかしくて話しかける。

『柚季強いね。見た目細いのに腕力あるんだ』
【黒帯なんだぁ。男は強くなくちゃね】
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