恋・したい
バスルームは薔薇の薫りが充満している。私は長い長い髪を束ねてゆったりと湯船に浸かる。心臓がまだうるさい。此処に柚季が居るとゆう現実、私にとってなんだかとても不思議でならなかった。
バスルームを出て髪をほどきタオルドライをしながら鏡を見た。私、いつもと違う顔になってない?ちょっとお肌綺麗になった?裸のままかれこれ20分鏡とにらめっこしていた。
タオルを巻きドアに手をかけたところではた、と気付いた。この格好じゃ出て行けない!

『柚季?今何してるの?』

ドア越しに話しかける。

【TV見てる~】
『悪いんだけどコーラ買って来てくれないかなあ。お願い』
【うん、いいよ。行ってくるね】

暫くしてバタンと閉まる音が聞こえた。タンスを開け素早く服を身に付けた。髪拭きながら部屋を見回す。綺麗に並べられた本、ピカピカのキッチン、埃が拭き取られたTV。
綺麗好きなのね。掃除苦手なんだよね…私。
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