恋・したい
右側に熱を感じふと目を覚ました。寝返りをうつと柚季の顔がすぐそこにあった。ほんとに間近。5㎝くらいだろうか。いつの間にベッドに入ったの?
睫毛長いなぁ、肌白―い…
思わず頬に触れた。微かに眉をしかめたが静かに呼吸を再開した。両手を柚季の頬に当てて撫でてみた。
ほんとに女の子みたいな顔立ちだな。

【うぅん…】

やばい。手を引っ込めたら布団がぐちゃぐちゃになってしまい、かけ直す為に起き上がろうとしたら背中に柚季の腕がまわされていた。
ぐっと抱きしめられ更に距離が縮まる。
えええええ!?ちょっと!ふわぁぁぁっ!!
思わず叫びそうになるのを堪える。こんなに間近に男の人と接近したのは初めてだから。
痛い
心臓が痛い
どきどきしすぎて

…いや、じゃない。
柚季に抱きしめられて嫌じゃない。怖くない。なんでだろうか。
あんなに嫌悪感を抱いていたのに、男なんて皆同じだと思っていたのに。
柚季の胸に収まってる私が居る。寝惚けてるのは解っているけど、無意識でしてる事だと解っているけど。
何がなんだか理解し難くて考えるとかもういいやぁ…
私は無理矢理目を閉じ眠る努力をした。
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