恋・したい
また胸がこそばゆくなる。いつもより大きな心音、早い鼓動。喉の奥が痛くて唾を飲み込むのが苦しかった。

【個展とかがいい?それとも美術館にする?】
『…お茶飲みながら決めない?』
【ん―、僕は早く行きたいん…あ、うん。此処入ろ】

ちょうどオープンカフェが目の前に現れた。助かったぁ…

「いらっしゃいませ。二名様ですか?」

店員の案内で席に着きアイスミルクティーを注文する。

『はぁ…』

小さいため息を柚季に気付かれない様に吐く。水分を摂らないと目的地に着く前に干からびて乾いちゃいそうだわ。

【莉梨愛ちゃん喉乾いてたんだね。今日そんなに暑くないけどね】

柚季は水をこくりと飲みゆっくりグラスを置き、頬杖をついて私を見つめる。見られるのが恥ずかしくて視線をテーブルに落とし、髪の毛を触る。

【莉梨愛ちゃんの髪綺麗だね。ポニーテール似合うんじゃない?今度やってみてよ】
『そっ…かな。ポニーテールする歳じゃないかもね』
【莉梨愛ちゃんなら似合うよ♪僕が保証する】

素直に嬉しいと思った。柚季に保証されてもされなくても[私]を見てくれているのが嬉しかった。
やがて運ばれてきたミルクティーを半分一気に飲んだら少し落ち着いて余裕がちょっとだけできた。
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