恋・したい
『柚季は注文しないの?』
【うん、大丈夫】

ミルクティーを飲み干し席を立ち柚季にお手洗いに行って来るから待っててと告げ早足で向かう。
鏡に映る自分をチェックする。髪がはねていないか、化粧崩れしてないか。一回りして全身チェック。
うん、よしっ!
気合いを入れて席へ戻る。

『お待たせ』
【じゃ行こっか】

そのままお店を出て私の手をひいてすたすたと歩いてゆく。
あれ?会計は?

『ねぇ…』
【心配しなくて大丈夫。莉梨愛ちゃんがお手洗い行ってる間に済ませといたから】
『ありがとう…、ねぇなんでそんなに気がつくの?』
【家庭環境かな。お姉ちゃんから厳しく躾られたから】
『お姉さんいるんだ。いいね』
【4人はちょっといすぎだよね】
『えっ!?よ、4人?』
【僕5番目なんだよ】
『………』

ちょっと言葉が出てこなかった。私は一人っこだから想像つかないし、女の子の中で柚季が唯一の男の子。両親はどんなに喜んだだろうか。
そっか、柚季は特別な男の子なんだぁ…

【びっくりしたでしょ。莉梨愛ちゃんだから言ったんだよ?恥ずかしいから言いたくないんだよね】
『羨ましいな。私兄弟いないから』
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