恋・したい
【…じゃあ僕は莉梨愛ちゃんの弟みたいな存在かな?】
『弟とかじゃなくて生徒でしょ…』
【じゃ僕以外の生徒でもいいんだ。デートしよってゆわれたらするんだ】
『しない!柚季だからっ…』

そこまで言いかけて、はっとして口を両手で抑えた。
何?私何を言おうとしたの?柚季だから何?なんか泣きそうだよ…

【…ごめん。ヤキモチ】

小さく呟いたからよく聞き取れなかったけどヤキモチって聞こえた気がした。私は必死になって涙を堪える。手をぎゅっと強く握られいつもの笑顔で

【楽しい1日にしようって約束したもんね。美術館行ってみよ♪】
『…うん!』

精一杯の笑顔で応えた。そうよ、今日は私の記念すべき人生初デートなんだから。
柚季の体温が右手から伝わってくる。心地良いんだけどちょっとくすぐったくて。こうしているのは嫌じゃなくて柚季とならずっと繋がっていたい、寄り添っていたい、…傍に居たい。
なんでかな?
両親以外のぬくもりを大切だと感じるのは初めてなの。
泣きそうになるのはなんでなの?
< 76 / 244 >

この作品をシェア

pagetop