オカマとお馬鹿
｢へぇ、お尻を触ってたのね｣



そう言ったオカマに、おじさんは自分が言った言葉に気付いた。



｢いや、そうじゃなくて…｣



明らかに焦っている。
汗の量も尋常じゃない。



周りの野次馬からは最低とかキモいなどと色んな事を言われている。



丁度その時、電車が止まった。
やっと私の降りる駅に着く。



扉が開き、私は改札口へと向かった。
後ろでは喚いているおじさんの声が聞こえる。



改札口を通り過ぎた時、腕をグイッと後ろに引かれた。



｢…わっ｣



驚いて、固まっていると頭上から怒鳴られる。



｢こんの馬鹿っ！　何先々歩いてんのよ！　あんた被害者なのよ！？｣



その喋り方であのオカマだと気付く。
確か痴漢されたのはオカマなのに。
キョトンとした顔で見上げると、困ったような表情をされた。
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表紙・目次

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