准教授 高野先生の恋人
目が点で放心状態の私なんかまったくもっておかまいなしに、
カスガイ……っていうかタケイ?は何食わぬ顔で月餅をぱくりと頬張った。
「カスガイ……あの……」
「んあ?あぁ、指輪ね。結婚指輪まだ買ってないからコレつけてる次第。以上」
「はぁ、そうなんだぁ」
って、私が聞きたいところはたぶん?そういうとこじゃない!
竹井ってことは学生時代につきあっていたあの人ってことだよね???
留学から帰ってきてすぐに入籍ってどういうことなわけ???
とにかくもう色々聞きたいこと、いっぱいいっぱいあるんですけど!?
「森岡先生すみません」
「あ?」
「カスガイ改めタケイは元気ってことで。今日はもう連れて行きますから!」
「オ、オレはまあ止めないけど……」
「ええーっ、まだ月餅食べてるぅー!」
「じゃ、ごきげんよう。失礼します!」
「モア月餅ーっ!!モアー、モアー!」
こうして私は詳しい事情聴取をすべくカスガイを自宅へと強制連行したのだった……。