准教授 高野先生の恋人
3.お日様のカステラ
今年のバレンタインデーは土曜日で、私はいつものようにバイトだった。
今日のバイトは早番で、8時入りの13時上がり。
ギリギリ駆け込みの患者さんもなく、時間通りに上がれたというのに、
これから寛行さんと一緒にお昼ご飯を食べに行くというのに、
私の心はどんよりと曇り、足取りはずんと重かった。
バイト帰りの待ち合わせはいつも、クリニックの近くのローソンと決めていた。
私がそこへ着いた時にはもう、やっぱり彼は既に来ていて、
私の姿に気がつくと、にっこり笑って、ちょっとほっとした表情を見せた。