姫の導-ヒメノシルベ-
 
 
 
家を出た時刻が午後の四時だったから、一時間ほど歩いていることになる。
 
 
 
「……迷った、訳無いよねっ!いつもの道だし…!」
 
 
 
まるで自らに言い聞かせるように、悠唯は明るく言った。
 
そうしなければ、弱気になってしまいそうだったからだ。
 
 
 
この道は学校帰りにいつも通る道であり、スーパーへは10分程で着くことができる。
 
だが、ぐるぐるぐるぐると、先程から同じ道を通っている気がしてならない。
 
 
 
つまり。
 
 
 
おかしいのである。
 
 
 
「………」
 
 
 
静かに、悠唯は立ち止まる。そして、辺りをぐるりと見回した。
 
その最中に目に入った暗くなりかけの空に、悠唯の背筋が微かに冷える。
 
 
 
「…ここ、どこ…?」
 
 
 
無意識にそう呟いてしまい、自らの言葉に悠唯ははっとした。
 
 
 
ここは、見慣れた道だ。
 
 
 
それなのに、自分は何を言っている?
 
 
 
呆然と、自らの口元を覆う。
 
 
 
瞬間。
 
 
 
「…っ…!!」
 
 
 
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