恐怖 DUSTER
夫の愛
愛する妻を亡くしてしまった男が、どんな願いも一つだけ叶えてくれる魔法のランプを使って、妻を蘇らせようとした。




満月の夜に、妻の墓の前で男はランプに願いを言った。




「魔法のランプよ!三年前に死んだ、私の愛する妻を蘇らせてくれ!」




突然、月の輝きが消えてしまい雷雲が墓場を覆い、凄まじい稲妻が妻の墓に落ちた。




男は、稲妻の衝撃で腰が抜けたように、妻の墓の前で気絶してしまった。





それから、どのくらいの時が経ったのだろう・・・?




男が意識を取り戻し目を覚ますと、男の前に全身泥だらけの女が立っていた。



「ひっー」



男は、素早く跳ね起きその場を離れて、立ちすくむ泥だらけの女の様子をうかがった。




「うぅぅぅぅ・・・・うぅぅぅぅ・・・・うぅぅぅぅぅ・・・」



泥だらけの女は、言葉にならなない声を、男に向けている。



「うぅぅぅぅ・・・あぁぁぁぁ・・・うぅぅぅぁぁぁ・・・」




両手を、男のほうに差し出し、ただ呻き声をあげるだけであった。





原型を留めていない、腐敗し泥だらけの顔から見える目は、とても悲しそうであった。















< 1 / 190 >

この作品をシェア

pagetop