恐怖 DUSTER
自分を呪うかのような口調で話す恵子の表情には、魔性のオーラーがまとっているようであった。


そんな恵子を見て、弥生は少し恐怖を感じていく。


恵子から視線をそらそうと前を見てみると、麻美が自分達を気にしながら何度も後ろを振り向きながら歩いている姿が目に映った。


弥生は、麻美に心配をかけないように笑顔を見せた。


しかし、麻美は弥生に笑顔を返す事は無く、強張った表情で視線を向けている。


「・・・やっぱり、私は麻美に嫌われているんだ・・・」


「えっ?」


隣にいる恵子の言葉から、麻美の視線が向けられていたのが自分で無い事を弥生は理解した。


「そ、そんなこと無いよ!麻美は恵子のことを嫌ってなんかいないわよ!」



慌ててとりなす弥生に、笑顔を向けながら恵子は言った。



「弥生はやっぱり優しい良い子だね♪こんな不気味な話をする私にも気を使ってくれて」



「不気味だなんて・・・そんなこと思ってないから!」



「私は、恵子の話を聞きたいよ。本当の恵子のことをね・・・」



「・・・やっぱり優しい良い子だね・・・」



そう言うと、恵子は弥生の頭を子供を誉めるようになでた。



頭をなでられながら、恵子との生きてきた年月の差を思う弥生。


・・・なんだか、お婆ちゃんに誉められているみたい・・・




「じゃ弥生、私の話を最後まで聞いてね・・・?」


「うん・・・聞くよ最後までね・・・」


恵子は弥生の頭をポンと優しく叩くと、再び話を始めだした。







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