恐怖 DUSTER
「お菊ちゃんが夢の中で消滅した後に、私は意識を取り戻したの」


「そして、私のそばで大勢の人達が集っていた・・・」


「・・・何かに群がっていたの・・・」


「・・・血まみれになりながら・・・」


「・・・そして、私はその何かを理解した・・・」



弥生は、恵子が話を戻した途端に内容が悲惨な状況の展開になり驚いた。



「そ、それって!・・・まさか・・・?」


弥生の問いかけに、恵子は首を横に振りながら答えた。



「違う・・・お菊ちゃんじゃ無いの・・・」


「えっ!」


「大勢の人たちに体をむさぼり食べられていたのは・・・」



「・・・私だったの・・・」



驚きで言葉を失っていた弥生であったが、すぐに理解した。


「・・・あっ!入れ替わり・・・」


「そう・・・私はその時には、既にお菊ちゃんの体に入れ替わっていたのよ・・・」


「で、でもどうやって入れ替わったの?」


「弥生たちは、自分の新しい心を恐怖で壊して吸収していったでしょう」


恵子の言葉により、前の弥生の心情を思い浮かべてしまい弥生は心を痛めた。


「弥生たちは自分の心だけど、私は他人の壊れた心を消滅させる事ができるのよ」


「そして、心を消滅させた後には、その人の体は私の物になっている・・・」



悪魔の所業のような事を言う恵子に、弥生は最も恐怖を感じた。


「大丈夫!弥生の体を奪ったりなんてしないから」


屈託の無い笑顔で答える恵子の笑顔に、弥生は背筋が寒くなる思いであった。


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