恐怖 DUSTER
くすりと恵子が笑った。


「・・・なに?」


恵子の突然の笑い声に弥生は少し戸惑った。


「そうか・・・弥生の言うような考え方もあるんだね・・・」


自分の言葉に同意するような返答をしてくれたので弥生はホッとした。


「そういう考え方もじゃなくて、その考え方しか無いのよ」


「・・・恵子の入れ替わりは、私達とは違うんだから・・・」


心が晴れてきた恵子とは対照的に、弥生の心は薄暗く曇っていく・・・


そんな弥生の思いを読み取ったのか恵子は突然話題を変えた。


「ねぇ、もうすぐ私の誕生日と裕子の誕生日だけど、麻美たちは裕子も入れ替わらせるのかな・・・?」


「えっ?・・・麻美達は・・・そのつもりみたいよ?」


「・・・そうか、裕子も入れ替わっちゃうんだ・・・」


「恵子は、反対なの・・・?」


「う~ん・・・反対ってわけじゃないけど・・・ちょっと寂しいかな・・・」



「・・・寂しい・・・の?」


弥生は恵子の心情が読み取れずにいた?



「だって、私が友達になったのは前の心の皆だから・・・」



「あっ!」


そう言われて弥生は、初めて恵子の心情を理解する。


恵子が私達と知り合い友人となったのは、前の心の私達だと言う事に。



「・・・そうか・・・恵子にとっては友達がいなくなるようなものだもね・・・」


「ちょっと!それじゃ今の弥生は、私の友達じゃないっていうの?」


「そ、そんな事無いよ!私は恵子の友達だよ!」


恵子は笑顔で弥生の頭をなでながら言った。


「よしよし、それでこそ私の心の友だよ♪」


そう冗談めいた口調で言う恵子であったが、その笑顔はどことなく寂しそうであった。
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