恐怖 DUSTER
会話も忘れ物思いにふけていた弥生は恵子の視線を感じ慌てた。



「あっ、ごめん。また考え込んじゃった」



恵子は微笑みながら、弥生の方を軽く叩くと明るい声で言う。



「弥生は考え込むと周りが見えなくなってしまうのが癖みたいだね♪」



返す言葉が見つからず困った表情の弥生に向かって恵子は楽しそうに言った。



「ねぇ♪考え込むと麻美にすごく怒られるでしょ?ちゃんと聞いているのって?」



「えっ!そ、そうだけどなんで解るの?」



麻美に怒られることだけでなく、麻美の言葉までも言い当てられて弥生は驚いた!



恵子は、笑いながら言う。



「そんなの想像すれば解るよ♪」



「まぁ、私にも似たような経験があるからね。・・・私は麻美と同じですごく怒るほうだった・・・ちゃんと聞いているの?てね・・・」


その時の事を思い浮かべ、恵子の表情は穏やかになっていく。



「・・・本当に・・・似ている・・・」




・・・優しく静かな声で恵子はそう言った・・・



「えっ!なに?聞こえなかったんだけど?」



何かの思いを吹っ切るように恵子は言った。



「なんでもないよ。それより麻美の話の続きね♪」



恵子が何を言ったのか気になる弥生であったが、麻美の話の続きを聞きたい要求に負けてもう一度聞き返す事はしなかった。



再び恵子が麻美の事を話しだしていく、弥生の知らない麻美の事を・・・







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