恐怖 DUSTER
弥生の言葉を確認した麻美は、抱きしめていた弥生から離れた。


「う・・・あぁぁぁ・・・うぁぁぁぁぁ・・・」



突然、弥生は人の声とも思えない呻き声を上げはじめる。



「うぁぁぁ・・・おぉぉううう・・・ああぁぁぁ・・・」



裕子と恵子は、ただならぬ状態の弥生を見て不安になり、たまらず麻美に問いかけた。



「ねぇ、麻美!弥生どうしちゃったの?弥生は大丈夫なの?」



「変だよ!なんか変だよ!」



「あぁぁ・・・ぅううううぅぅうああぁぁぁ・・・おおぉぉぉああぁぁ・・・」


弥生の恐ろしい呻き声はおさまるどころかさらに大きくなっていく。



弥生の異常な状態に耐え切れなくなり、裕子と恵子は掴んでいた弥生の両手を手放しその場から離れてしまった。


「おおぁぁおああああぁぁぁ・・・うぅぅおおぉぉあぁぁ・・・」



麻美は弥生を、ただ黙って見つめている。



「麻美!麻美ったら!弥生はどうしちゃったのよ!」



裕子の問いかけにも麻美は答えず、まるで弥生を観察するように一心不乱に見つめていた。


裕子と恵子は、たまらず麻美に駆け寄りもう一度麻美に問いかける。



「麻美、聞こえないの!弥生はどうしちゃったのよ!」



「ねぇ、ダメだったの?弥生が自分の名前を言っても無駄だったの?」



「・・・大丈夫・・・」



「えっ・・・?」



「もう、大丈夫だから」



裕子と恵子は、もう大丈夫と言う麻美の言葉が理解できなかった。



「どこが大丈夫なのよ!弥生は変な呻き声を上げてるし、目だってつぶったままじゃないの!」


怒りに似た声で、裕子が麻美に向かって言う。




麻美は無言で弥生に向かって指を刺し、静かに言った。





「弥生の、弥生の後ろの女の子が消えていく・・・」





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