恐怖 DUSTER
「弥生、本当に大丈夫?どこか変なところは無い?」


麻美は、弥生を支えながら心配そうに聞いた。


「だ、大丈夫。心配かけてごめんね」


「良かった。本当に戻ってこれて良かったね」


「あ、ありがとう。これも麻美のおかげよ」


「私だけじゃないよ。裕子も恵子も頑張ったんだから」


弥生は、裕子と恵子に笑顔を向けながら感謝を込めて言う。


「裕子。恵子。本当にありがとうね」


「お礼なんてやめてよ!私なんてほとんど役にたたなかったんだから」


照れくさそうに裕子が言った。


「そうそう、肝心なところは全部麻美のおかげで、裕子は役に立たなかったからね」


恵子が、上目線の口調で冗談交じりに言う。


裕子は、恵子の頬を軽くつまみながら言った。


「あんたにだけは、言われたくないわね!」


その場の空気が明るくなり、全員が笑いに包まれていく。


「よし!今度こそ帰ろう!」


裕子が力強く皆に言う。



「賛成!早くここから立ち去ろう!」



恵子が裕子の意見に同調して言った。



「弥生大丈夫?一人で歩ける?」



麻美が、弥生を気遣うように言う。



「もう大丈夫よ。一人でも歩けるから」



裕子が弥生の鞄を拾い上げ、弥生に向かって言う。



「私が、弥生の鞄を持つから。さぁ、早く帰ろう!」


今の今まで、現実に起きていたことが夢であったかのように、何事も無かったように明るい感じで四人は学校を後にした。




しかし、笑顔の三人とは違い、麻美の笑顔の表情には、どことなく暗さがあった・・・


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