恐怖 DUSTER
夕暮れの川沿いの土手を歩く四人。


先ほどまでの、恐ろしい出来事が嘘のように穏やかな時であった。



「ねぇ?弥生、本当に大丈夫?」



恵子が弥生を気遣い優しく問いかけた。



弥生は、恵子に笑顔を向けて明るい声で答える。



「大丈夫よ、ありがとう恵子」



弥生の返す笑顔に恵子は安堵し喜んだ。


「でもさ!裕子があんなに泣くなんて初めて見たね!」


「へっ!」


いきなり、自分に話題をふってきた恵子の言葉に裕子は驚く!



恵子は楽しそうに話を続ける。



「あの、裕子の泣き顔。携帯で撮っとけばよかったな~」



恵子は、少しニヤケタ顔を裕子に向けながら言う。


「な!なによ!あんただっておもいっきり泣いてたでしょうが!」


「私が泣くのは珍しい事じゃないでしょ。気の強い裕子が泣いたって事が珍しい事なのよ!」


たしかに、自分の人生の中であれほど泣いた記憶はなかったであろう。


あんなに自分が泣くとは裕子本人も思いもしなかった。


裕子は、泣き崩れていた自分を思い出し耳まで赤くなるほど恥ずかしく感じていく。



「裕子、ごめんね。私のためにあんなに泣かせてしまって・・・」


弥生が裕子に向かって、すまなそうに言った・・・
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