恐怖 DUSTER
「な!なに言ってんのよ!弥生は何も悪くないよ!」



「こら!恵子。あんたがしょうもない事を言い出すから、弥生が気にするでしょうが!」


「はいはい、弥生は何も悪くないよ!裕子がワンワン泣いたのは、裕子が泣き虫なのが原因なのだから」



「誰が泣き虫だって!泣き虫なんて、あんたにだけは言われたくないっーの!」



裕子は軽く、恵子の両頬を掴みながらひきつった笑顔で言った。



恵子は不適な笑顔を向け、持っていた携帯を裕子に見せて言う。



「実はね!裕子の泣き顔を携帯に撮っていましたー!」



「な!なんですって!」



裕子は恵子の言葉に心底驚き、携帯を取り上げようとしたが間一髪逃げられてしまう。



「恵子!あんた、本当に撮ったの!すぐ消して、消しなさーい!」


「あっかんべ~消さないよん!」



恵子は、前の道に向かって走り出した。



裕子は逃げる恵子を慌てて追いかけて行く。




その二人の後姿を、弥生と麻美が見つめていた。




遠ざかる恵子と裕子の背中を、弥生は優しい眼差しで見つめながら麻美に静かに言った・・・









「・・・麻美ちゃん・・・あなた・・・気づいているのね・・・?」
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