恐怖 DUSTER
麻美は、弥生の問いかけには何も答えず、視線を離れている裕子と恵子に向けていた。


「ねぇ・・・麻美ちゃん・・・?」


麻美は、ゆっくりと視線を弥生に向けて静かに言った・・・



「だめよ・・・弥生は、私を麻美ちゃんなんて呼ばないから・・・」


「えっ・・・?」


麻美の意外な返答に戸惑う弥生。


「ねぇ、弥生。あなた、シュタイナーの7年周期て知っている?」


「えっ!シュ、シュタイナー?・・・なんなのそれは・・・?」


麻美の理解できない返答に、弥生は困惑する。


そんな弥生を笑顔で見つめながら麻美は話し続けた。


「昔ね、シュタイナーて人が、人間は7年後とに体を完成させていって、35歳で人間の成長の頂点になるって言ってたの」


「7年後とに体を完成・・・?」


「そう、7年後とにね・・・」


「ごめん・・・麻美ちゃんが何を言いたいのか解らないわ・・・?」


「また言った・・・弥生だめだよ。・・・あなたは、私を麻美ちゃんではなくて麻美と呼ばないと・・・」


「やっぱり!麻美ちゃ・・・」


突然、弥生は麻美に手のひらでそっと口元を押さえられ言葉をさえぎられる。


「麻美と呼びなさい!」


強い口調の麻美の言葉と表情に、弥生は気押されてしまい口を押さえられたまま無言でうなずいた。



麻美は優しく弥生に微笑みかけ、再び話を続ける。



「シュタイナーの話しなんだけど、簡単に言えば人間の体の細胞は7年経ったら全て新しい細胞に生まれ変わると言っているのね」


「新しい細胞・・・?」


「そう、骨も含めた新しい細胞にね・・・」






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