恐怖 DUSTER
「だぁ~れだ?」三章
「シュタイナーの7年周期で人の体の細胞がほとんど変わるて事を言ったわね」


弥生は麻美を見つめ、無言でうなずく。



「人はね・・・細胞だけじゃなくて精神も・・・心も変わるのよ・・・」


「7年前の心と、今の14歳の心は全くの別人なの・・・」


「人は生まれてから7年で体を完成させるけど、その時一緒に7年間の心は新しい心に移し変えられてしまうの・・・」


「心を移し変えられる?・・・移し変えるってどうやって・・・?」


「簡単よ、ただ眠るだけ。眠っている間に生まれてから7年間の心は、新しく生まれる心に記憶を全て吸収されてしまうのよ」



「記憶を吸収されるの?」



「・・・吸収されるというより、奪われるて言ったほうが正しいのかも・・・」



麻美はそう言いながら、ほんの少し表情を強張らせた。



「奪われる・・・?」



「そう、奪われるのよ。7歳までの大切な想い出が全てね」



麻美の表情には、なぜか憎悪が満ちていた・・・



弥生は、麻美に恐る恐る聞いてみた。



「そ、それで記憶を吸収された7歳の心はどうなるの・・・?」



麻美は弥生にそう問いかけられると、先ほどまでの憎悪の表情から悲しみの表情へと変わっていく・・・



そして、しばらくの沈黙のあと・・・もの悲しそうに言った・・・






「消されるわ・・・・殺されるの・・・」



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