恐怖 DUSTER
「私が・・・弥生・・・?」


「そうよ、あなたは弥生・・・もう一人の弥生なの!」


「・・・もう一人の弥生・・・?」


弥生は、麻美の言葉に戸惑い混乱していく。


麻美は、そんな弥生の戸惑いを感じ取り優しい口調で言った。


「あなたはね、7年前に消去されるはずだった弥生の7歳までの心なの」


「私が、7歳までの弥生ちゃんの心・・・」


「思い出してみて。あなたは今日、弥生の後ろに現れる前まではどこにいたのか?」


「わ、私がどこにいたか・・・?」


弥生は今日、もう一人の弥生の目を隠し現れる前の自分がどこにいたのか、記憶の底を探り出すように懸命に思い出そうとした。



「わ、私は・・・なにも見えない、とても暗い所にいた・・・」



「そこは、とても暗く・・・なにも感じない所・・・」



「そこに、私はいた・・・」



「たった一人で・・・」



麻美は淡々と答える弥生に、慈愛の眼差しを向けている。



「そうね、そこはとても暗くて寂しい所よね・・・」



「そんな所に、あなたはいたのよ・・・7年間もね・・・」



「寂しかったよね・・・悲しかったよね・・・」




麻美の瞳には、涙が溢れている。




「もう、大丈夫だよ・・・」








弥生は、その麻美の言葉に、記憶の中の何かとても大切な事を思い出した。


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